スズメの、お宿。(篆刻:雀躍)

雀躍
縁側のひさしからツバメが4羽巣立ったが、その隣の少し小ぶりの古い巣に、 他のツバメが卵を2つ産んだ。入れ替わりのご入居、ご出産だから、大家として よろこばしい限りだが。同じ頃、玄関口に、スズメノカタビラやヒメコバンソウの 枯れ草が散らかり放題。見上げれば、3つ目のツバメの古巣から枯れ草が 2、30センチも垂れ下がっている。ずいぶん巣作りの雑なツバメ、と思ったが。 朝、玄関の戸を開けると、そこからスズメが逃げていく。縁側のツバメのように 交代で卵を温めているようにも見えないのだが。まさかと思いながら手鏡で 中を見たら、いるいる。スズメの雛が4羽もいて、親が来たのかと、口を開けて、 餌をねだる。かすかに鳴き声もする。スズメの巣は、屋根瓦のすき間とばかり 思っていたが、スズメの世界でも2×4的な新工法が流行りはじめたのだろうか。 子どもの頃、時々遠征して遊びに行った鶴見の総持寺。大きなお堂のひさしの 下に、巣から落ちたスズメの死骸が点線のように並んでいたのを思い出す。 篆刻は、欣喜雀躍の「雀躍」。目の前の田んぼでは、稲が順調に伸びている。 来月の末には黄金の穂が垂れるだろう。きっと大きく育って、巣からも落ちず、 猫にも捕られず、実ったお米をたらふく食べろ。生あることをよろこび、躍れ。
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