文字の、病気。(篆刻:文)

文(心字) 我々の祖先ホモサピエンスが誕生したのは、約20万年前。そして、最古の 文字は、約5300年前のメソポタミアの粘土板で取引の記録。松原泰道老師の 『百歳で説く「般若心経」』には、「お経を文字で表すことは冒涜であった」とある。 お釈迦さまの時代(約2500年前)でも、文字はまだ信用されてはいなかった。 人間の脳は、文字という新発明にいまだに対応できず、無理をしているらしい。 それが特に著しい人が欧米には10人に1人、日本でも20人に1人はいる。 病名は「読字障害」。聞く、話すのは出来るが、文字を読むのが苦手、それ以上 書くのが苦痛。文字が絵のように見えて、意味を理解するのに時間がかかる。 脳は見た文字をまず音に変換して、さらに意味を知るのだが。音に変換する 左脳のある部分が機能しきれないらしい。ピカソもディズニーも、そうだった。 しかし、左脳の欠陥を右脳が補うので、立体や空間の情報処理に優れている。 映画「ジュラシック・パーク」のモデルの恐竜学者も、1片の化石から恐竜を 言い当てられる。人間が文字を使いはじめたことで、新たに「文字の病気」が 生まれたのは皮肉だが。以上は、つい先日のNHKスペシャルの受け売り。 この素晴らしい企画も構成も、文字があったからこそ生まれたのも、また事実。
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