子(ね)年もあと2ヵ月と少し。不安と混乱の日本で、ノーベル賞がほのかな光と
なったが。話はネズミ、それも実験用のネズミのこと。(社)日本実験動物協会に
よれば、平成16年度には実験用にマウス(ハツカネズミ改良種)627万匹、
ラット(ドブネズミ改良種)255万匹、合計で約800万匹が販売されている。
そのすべてが解剖されて死んだのかというと、必ずしもそうではないらしい。
たとえば、ガン細胞の増殖の過程をマウスで調べるには、従来は同時に多量の
マウスにガン細胞を殖えつけて、順に解剖、つまり殺していた。それが最近は、
細胞や遺伝子を蛍光染色して、マウスを生きたまま長期間観察できるin vivo
(生体内)イメージングという技術が急速に普及している。この蛍光染色の端緒に
なったのが、下村脩さんが1962年にオワンクラゲから発見した蛍光たんぱく質。
干支(えと)のネズミがなぜ漢字で子なのかは、よく分からないが、篆刻は「子」。
このお釈迦さま誕生の天上天下唯我独尊のようなこの形を、私は女性の注文印で
使うことが多い。しかし、本来は身分ある王子などに使われた文字だったらしく、
一般の子どもの場合はバンザイした形。人生は生病老死と喝破したお釈迦さまも、
まさかクラゲがネズミや人間の命を救うことになるとは、ご存知なかっただろう。
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ネズミと、クラゲ。(篆刻:子)
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