京の、尻たたき。(篆刻:京)

京 京都に住んだら、きっと疲れるだろうな、と思うのだが。時々訪ねるのはいい。 カミサンの両親が眠る大谷祖廟へ参るときは、八坂神社を抜けて行く。ちょうど 舞殿の前に夏越の茅(ち)の輪があって、生まれてはじめて茅の輪くぐりをした。 説明通りに左周りに3回、最後は「蘇民将来」と唱える。疫病封じらしいが、 夏を無事過ごすことが大変だったことの名残り。絵馬堂には、ひときわ大きな 篆刻「祇園」の絵馬があり、正款法とあるのは不明だが水野東洞の名も見えた。 さて、この日いちばんのお目当ては、南座そばSPACE KAGIYA(空 鍵屋)での、 「ちょっと あーと。な表具展」。山科千里さん、駒井佐喜江さん他の4人が、 並みの表具ではもの足りないと、表具の先生の指導で、掛け軸、屏風から 巻物までをすべて自作してしまった。山科さんは、オーガンジーに詩を書き、 裏打ちの紙の墨模様を重ねる大作。駒井さんは、四季の絵巻を山並みの うねりにそって断ち落としてしまう奇想天外。半紙半分の裏打ちでさえ表具屋に 頼む私としては穴があったら入りたい思いで、身を縮めるばかりであった。 篆刻は、「京」。アーチ状の門で、上に望楼などのある形。京都に尻を叩かれて 痛いのなんの。電車で座ることも出来ず、奈良まで立って帰ったのだった。
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