居場所が、ない。(篆刻:居)

居 NHK教育テレビは、たまに見るとおもしろい。「青春リアル」は16~29歳が対象で、 テーマは「居場所がない」だった。親に言われたとおりに生きてきたのだが、空しい。 自分の芯が見つからない。自分の居場所が見つからないと悩む。スキルを身に つけなければと焦る。そんな若者たちがいた。一発芸のように突然坊主刈りにして、 会社の同僚から喝采を受けた。しかし、彼はそれを3ヶ月周到に計画したという。 「居場所」とは社会の中での存在感、アイデンティティーのこと。それが見つからない 原因は、子どもの時からの親の過保護、過干渉。笑われるのを承知で言えば、 私たちの世代の親は家族を食べさせるだけで精一杯、子どもは放りっぱなしだった。 子どもは自分で遊び仲間を探し、いじめ、いじめられながら、何とか自分の存在を 確保せざるをえなかった。そうしながら、自分とは何かを否応なしに知らされた。 ここの中学は自転車通学だが、雨の日は全員が親か祖父母の車で送り迎えを してもらう。少子化と3世代同居、山間部特有の様子だろうが、私の息子たちが 通った時には考えられなかったことだ。篆刻は、「居」。祖先の霊を祭るため墓所に 居ること。いまは、祖父母と両親が揃って、子どもの居場所を見えにくくしている。 少子高齢化が、子どもたちの首を真綿で絞めている。未来は、あるのだろうか。
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