写って、いない。(篆刻:写)

写 明日は立春。もう春だから軽い話でもしよう。この前も友人と「日経新聞の 文化欄は、新聞の中でいちばん面白い」と話した。今朝は京都のカメラマン・ 甲斐扶佐義さんの話。喫茶店をしながら町をぶらり歩いて撮った写真で 京都美術文化賞を受賞。しかし、結婚式で2度写っていないことがあったとか。 私も兄の結婚式で1枚も写っていない失態をしたことを思い出したのだが。 話は、30年ほど前のハワイ・ワイキキの砂浜でのこと。キャンディス・バーゲンと 瓜ふたつの女性を見かけた。急いでカメラにフィルムを入れて、砂浜の鳥を撮る 振りをして、肘をつき匍匐前進で近づく。横にはビヤ樽のような母親がいた。 何とかカタコトで話をして、写真もOKだったのだが、立ちポーズは嫌だという。 いよいよビヤ樽の母親が立ち上がり、彼女も後を追ったのだが。その姿には 唖然とした。上半身は完璧なキャンディス・バーゲン、下半身は母親と瓜ふたつ。 それでも、顔はキャンディス・バーゲンだから、日本に帰ってすぐ現像したのだが、 何も写っていない。これでは、ただのホラ話。残ったのは擦りむいた肘の痛みだけ。 篆刻は、シャッターのような「写=冩」。朝廟のウ冠と縁飾りのある靴・舃(せき・)。 履替えることから移、写になるが。ブログ300回目、こんな話でいいのだろうか。
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