これまた、酔狂。(篆刻:酔狂)

201672816313.gif もう、買うのはやめよう、読むのはやめよう、と思いながら、受賞会見をニュースで 何回も見たから、ついつい文芸春秋を買ってしまった。やっぱり、ガッカリだった。 芥川賞受賞作を読んだといっても、ここ10年で12作ほどだから、偉そうなことは 言えないが、それなりに”文学”を感じたのは2001年の玄侑宗久『中陰の花』まで。 『蛇にピアス』、『蹴りたい背中』は、ああそうですか。『介護入門』は、ご苦労様です。 『乳と卵』は、へえー。『ポストライムの舟』、『時が滲む朝』は作文。『乙女の密告』は、 そうなのー。『きことわ』は退屈。『苦役列車』はどこが苦役なのと、うんざりの行列。 そして今回の『共喰い』は、重厚を装ったエログロで、ラストの生理用品のくだりは 噴飯もの。強いて言えば『道化師の蝶』が中島敦を思わせる世界観を持っていたが。 石原慎太郎の選評、「言葉の綾とりみたいな出来の悪いゲームに付き合わされる 読者は気の毒というよりない」に同感。毎回失望の弁を書き連ねた気の毒な選考 委員としては、これを機に辞めるほかないだろう。まあ、しかし、たかが小説だから、 書くのも勝手、読むのも勝手。どちらも酔狂と思えば、腹の立つこともないのだから。 さて篆刻は「酔狂」。3月30日?4月1日、奈良での三游会に出す作品のひとつだが、 これまた枠にヒラヒラまで刻んで、酔狂以外の何物でもない。いや、下手の横好きか?
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