拙にして、劣。(篆刻:拙)

2016728165452.gif 大飯原発のある大島半島は、剣道を初めた頃、夏の合宿で2回行った。小さな市街 から車で半島に入ると細い一本道。海添いの民宿に泊まり、大島小学校の体育館で 練習をした。ランニングは田んぼの間を走った。太刀魚の刺身をはじめて食べたが、 大きな漁港があるわけでもなく、半農半漁という感じ。大飯原発の操業開始は79年、 ちょうどその頃らしいが、原発反対の看板もなければ、原発で潤った様子もなかった。 政府は明日にも再稼働を決定するという。総理は安全とは原発ばかりでなく、国民の 生活、経済の安全を含む、ゆえに関西では大飯原発の再稼働が必要だと言ったが。 ネットで福井新聞の記事を読めば。国の原子力安全委員会が防災対策の重点実施 地域を半径30キロに拡大しながらも具体策は放置状態、事故のオフサイトセンターも 海抜2メートルのまま、国の防災道路の複線化整備の完成は8?10年後と、不安は 尽きることがない。にもかかわらず、県や町が再稼働を認めたのは、原発に依存する しかない悲しさゆえの苦渋の決断だ。総理は「国民全体の安心のため地方の不安は 無視する」と言い切ったのだ。篆刻は「拙」。出は、人の足(止)とかかとの跡の曲線を 加えた形。大飯が再稼働に踏み出せば、他もなし崩しに再稼働になるだろう。政府の やり方が拙劣と非難するのはたやすいが、問題の根はあまりにも深い。そして暗い。
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