「雑草という草は無い」というのは昭和天皇の有名な言葉だが。5月27日の日経
新聞に、「岡山大学の資源植物科学研究所の野生植物グループが、雑草を中心に
野生植物の種を100年以上収集し、昨年11月末で約5500種、3万点を超えた」と
ある。この研究所の前身は大原奨農会農業研究所で、倉敷紡績の2代目社長
大原孫三郎が、ドイツに留学させた近藤萬太郎の進言で大正3年設立したもの。
私が制作したクラボウの企業広告シリーズ《やる可(べ)し、大いにやる可し》でも
果物王国岡山の基礎を築き、宇宙ステーションで大麦の発芽生育に世界で初めて
成功したことなどを紹介した。このグループによれば、雑草とは「耕地など人の手が
常に入る土地に意図せずに侵入して生える植物」をいうそうだが。私としては、以前
書いた農薬会社の人の「農業は反自然的行為の最たるもので、雑草や虫はそれを
元に戻そうとするごく自然なこと」という言葉を支持したい。百野草荘を名乗るから
には、雑草は嫌いではない。それでも止むなく、草刈という反自然的行為を、草刈機
という凶暴な機械で、土日で足らずに水曜日まで、汗水たらしてやっているのだが。
篆刻は「雑」。色彩のある織物を組合わせることから純の対語となったが。世界の
真の姿は雑多と混沌だと雑草を刈りながら想う、・・・なんていう余裕はまったくない。
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雑草を、刈る。(篆刻:雑)
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