この歳で、また子育てをするとは思いもしなかった。といっても、2匹の子猫なのだが。
この前の日曜の夕方、草刈と水まきを終えて縁側でカミサンと一服していたら、何やら
声が聞こえる。鳥かと思ったのだが、鳴きやまないし、どうも猫らしい。炭焼き小屋の方
なので行ってみると、道端に2羽のカラスがいる。1羽は逃げたが、もう1羽が何かを
ついばんでいる。近づけば小さな黒い子猫で、もう息がない。それなのに、まだ猫の声が
する。道の反対の用水路で2匹の子猫が腰の下を水に流されそうになりながら、水路の
へりにしがみついて鳴いていた。助けあげ、カミサンのエプロンで拭いて、連れて帰った。
とりあえずミルクを飲ませて、翌日いつもお世話になる獣医さんに連れて行った。生後
3週間のメスだが、寄生虫もいないし、健康な子との診断。ペット用のケージを貸して
もらい、ミルクやその後の離乳食も万全になった。さて、1日5回の授乳は、スポイトを
かじるほどむさぼり飲むのでカミサンと二人がかり。今朝は試しに離乳食をミルクで
溶かして与えたら、ガツガツと相手の手を噛むほどに食べた。お腹がふくらむと2匹で
卍になってよく眠る。それを見ると、カラスと水から命からがら助かった2匹を引き離す
のも不憫になる。2匹一緒に貰ってくれる方がなければ、ここで飼うことになるだろう。
甲骨文字は「育」で、母と生れ出た子の象形。人でも猫でも命に軽重はないのだから。
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命を、育てる。(篆刻:育)
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