大丈夫、うつ病は治ります。(篆刻:大丈夫)

大丈夫
うつ病は、周りが「頑張って」と励ましてはいけない病気。だから家族、とくにカミサンは 困りはてていた。「たまには本でも読んだら」というくらい。なすすべも無く、神に仏に 祈りながら、ひたすらに待っていた。何を待っていたのか。その待っていたものが、 ついに新聞にあった。「思春期の心の病い」という連載コラム。カミサンは、この先生なら きっと治してくれる、という直感があった、北海道でも九州でも行こうと決めた、という。 新聞社に電話した。名刺のコピーが送られてきた。「見て、見て、お父さん。この先生、 奈良なのよ」。感動のない日々を重ねたぼやけた頭でも、「奈良」は驚きだった。 拡大された名刺には「西大寺 心のクリニック 吉田脩二」とあった。 すぐ電話で予約するが、2週間ほど先。その日、病院でも、2時間以上も待たされた。 症状を話す。カミサンが補足する。飲んでいる薬を見てもらう。そして、「大丈夫」の声。 薬の処方は、ほぼ正しいけれど、あなたに効くはずの新しい薬が入っていない、という。 大正製薬のリーマス、成分はリチウム。なんともいえない安堵感に包まれて、帰宅。 夕食後に薬を飲んだ。翌朝、頭に張っていたクモの巣が消えていた。全快まで、長くは かからなかった。吉田脩二先生。後で知ったが、「不登校」という言葉をはじめて使い、 若い人の心の病いに警鐘を鳴らし、そのケアを積極的に実践された方なのだった。
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