祭りを、守る。(篆刻:祭)

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私は秋の祭りまで、狭川の氏神様・九頭(くず)神社の西狭川町の信徒総代に
なっている。総代といっても歳の順で連絡係のようなもの。30年前に来たよそ者が
室町時代からの家に交じって多少なりともご奉仕できるのは、本当に有り難いことだ。

九頭神社は上狭川と下狭川の境界にあり、主神は天手力男命(あまのたぢからおの
みこと)で天照大神が隠れた天の岩屋の戸を手で開けたという大力の神。九頭とは
竜神で水神として水を恵み、里人を水害から守る田の神でもある。創立年代は不明
だが最も古い石灯篭に1489年の銘があり、手水舎横に樹齢500年の銀杏樹がある
ことから室町時代とされる。狭川氏が1384年春日おん祭に奉仕して以来春日大社と
縁が深く、古い時代の春日田楽が両・西の宮座・敬神講によって受け継がれている。

奉納する田楽はピッピラ、バタラン、コハイ(鼓拝)、タチハイ(太刀拝)で相撲や
翁舞と合わせて県指定無形民俗文化財。翁舞に使われる翁の面は2代目で初代
の面は箱書により室町時代後期の作。県立美術館に委託保管しているが、宮司の
辻孝氏は自らの手でその復元を進められた。ノミを持ったこともない辻氏が指導を
仰いだのは仏師・由谷六九拾さん。私と前後して土地探しをした友人で、我が家の
玄関の阿形の仁王さんは狭川に越した時の彼からのお祝いなのだから、これもご縁。

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