変哲、半生記。(篆刻:変・變)

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『俳句で綴る 変哲半生記』(岩波書店)はご存じ小沢昭一の句集。約4,000句だから
読むのに相当時間がかかるが。彼が俳句をはじめた昭和44年は、私が大学を出て
コピーライターになった時とちょうど重なっていて「ゲバ棒の落ち目の春のにが笑ひ」 

私が結婚した45年11月は「ネーブルをむいた爪いたく破談かな」 外資系の広告
代理店と契約した46年「日給月給おくればせなる初鰹」 長男誕生の47年3月は
「小児科の泣き声ありて木蓮咲く」 次男誕生、マクドナルド・藤田社長にプレゼンを
していた48年「ステテコや彼にも昭和立志伝」 代理店を辞めCMプロダクションを
始めた51年「いきいきと生きたしと思う鳥渡る」 ペプシのCMで王選手のキャンプ地
宮崎にひと月近く行きっぱなしだった52年には「しばらくは戻れぬ旅の湯ざめかな」 

横浜から奈良に越して、鉄筋アパートなのに子どもが子猫を拾った53年「露地越えて
はじめて遠出した仔猫」 沖縄、ハワイのロケが続いた54年「東風吹くや漢和辞典の
うすぼこり」 広告代理店に辞表を出した55年は「生きて生きて咲かざる花実秋彼岸」
職業訓練校で大工の勉強をし、川で釣りしていた56年は「釣堀の四角の空に雲流れ」
この西狭川町に引っ越して紫陽花などを植えはじめた57年「あじさいや明日天気に
なあれ」と、小沢昭一的こころは私の人生と重なるのです。続きは次回、ということで。

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