完全な悟り。(篆刻:得阿耨多羅三藐三菩提)

あのくたら
これが、「得阿耨多羅三藐三菩提」。原語を音写して、意味は「完全な悟り」。 パソコンの外字で探すのも手間だから、徐先生が親切にお手本を用意して くれているはずもない。先生がこの印を見たら、「これのどこが徐三庚なんだ」と 怒鳴られる。私としては、確かに自慢できるものではないが、 生徒が必死に先生の真似をしようとする、そのけな気さには涙が出る(くらい)。 簡単な文節から始めた篆刻般若心経だから、長くて難しいのは後回し。 最後に表題の「摩訶般若波羅蜜多心経」を彫り終わったのは、 親父が亡くなった翌年も半ばを越えてのことだったと思う。 全53顆(か・篆刻の個数)、捺すのも大変なのだが、勢いとは怖いもので、 兄弟に配り、額装して奈良薬師寺の高田好胤管主にも直接献納した。 この「篆刻般若心経」は、近いうちにホームページでお目を汚すとして。 話はやっと「守破離」に戻ります。これを彫り上げたら、けろっと徐三庚先生の 作風に興味が無くなってしまった。私にとって、「守」の時代は 終わったらしいのだが。その後の私は「破」なのか。いまは「離」なのか。 自分で分からないから、困る。いや、正確に言えば、悟れないから面白い。
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