4月26日にグランドオープンしたグランフロント大阪は、JR大阪駅北の再開発区域
「うめきた」の先行開発エリア。オープン間もない頃に、行く機会があった。オフィスと
商業施設のある北館・南館とホテル棟、マンション棟からなる4つの高層ビル群で、
その北館にあるナレッジキャピタルは、「世界の感性、技術を持ち寄り、交わり、コラボ
レーションして新たな価値を生み出す」がコンセプトの知的創造拠点。ここにオフィスを
構えた友人に誘われて案内してもらったのだが。待合せ1時間ほど前に着いたから
ショッピングモールなど見て歩けばいいものを、私はタバコが喫えるコーヒーショップに
入って本を読んでいた。それは『植物のあっぱれな生き方』(田中修、幻冬舎新書)。
芽が出る条件が整わなければハスやエンドウの種は2千年3千年もチャンスを待つ。
花は雄しべ雌しべで自家交配もできるが、危険な近親婚を避ける知恵を持っている。
植物は動物に食べられるのが宿命だが、食べられた茎の下の側芽が頂芽となって
伸び続けることができる、などなど。植物が生を全うするための知恵や仕組みには
ただただ驚くばかり。やはり神の仕業かと思いつつ、天に伸びる高層ビルを見れば
人間の打算が積み重なった楼閣のようで、何やらうすら寒い。北の文字は人が背を
向ける形だが、ビルに背を向けて足元の草に感動する私は、もう仙人の仲間入りか。