楢(ナラ)が、枯れる。(篆刻:楢)

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選挙が終わって、この地区からも新市会議員が誕生した。めでたいことだが、どうも
選挙というナマ臭い運動が好きではないから、当たりさわりのない自然の話をしよう。

奈良市街への行き帰りに県道から見える飯盛山の四季の変化を見るのが楽しい。
息子の墓地も、この山が見えるからと決めた。先日も墓参りを終えて、ふと見ると
枯れ木が増えていて驚いた。マツ枯れではなく広葉樹のようだ。どうも「ナラ枯れ」
らしい。ナラ枯れはナラ、カシ、シイなどがカシノナガキクイムシ略してカシナガが
媒介する病原菌で起きる伝染病だ。里山林は薪や炭にするために伐られてつねに
更新されていたが、それが不要になって里山自体が放置された。そんな老齢林や
大径木に被害が多いという。全国の各地で被害が出ているが、奈良では平成11、
12年に十津川村で発生した。それから約15年で県北部にまで拡大したことになる。

森林総合研究所のサイト「ナラ枯れの被害をどう減らすか」には薬剤の注入・塗布、
枯死木の伐倒処理などが数々紹介されているが、金も人もない自治体には教科書
通りの十分な対策ができるとも思えない。抜本的には里山林を薪や炭にしつつ管理
するしかないのだが。そんなことをこの時代に誰がするだろう。東北の復興さえも
まともにできない国だから、地方の里山の再生など夢のまた夢でしかないだろうな。

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