お地蔵さんを下ろす。(篆刻:地蔵)

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我が西狭川町の北西の山の中に薬師堂という祠(ほこら)があり、ジョーセン地蔵が
祀られている。この地域の新西国三十三所のひとつで、ジョーセンとはお菓子の飴。
子どもの吹き出ものには「ありがたや薬師堂地蔵菩薩救いの誓いあらたなり」と祈り、
治れば飴を手に「お礼参りのうれしさに聞こし召されよ南無地蔵さん」と唱えたという。

この祠の瓦が落ちて建て直しが必要だが、高齢化で山道はつらい、登り口の畑を
借りて移転することになった。長老を祭主に地鎮祭をして、石垣、ブロックで整地し、
祠の土台が出来た。1.5メートル、1トンほどもある地蔵さんを下ろす大仕事になる。
僧侶が性根を抜いたから、ただの石だが粗末には扱えない。考えた末の方法は、
割った竹を番線で巻いて、ロープで細い山道を滑らせることにしたが、予想以上に
上手くいった。大小30の石仏は一輪車で。8人で午前中にはすべてを下ろし終え、
午後はすえ付け。ミニユンボの威力も借りて、地蔵を立て、石仏も整然と並べた。

つぎは大工の仕事で、11月1日には性根入れ。これで地蔵移転、薬師堂再建が
完成する。宗教施設だが町の文化遺産でもあるので自治会の事業とした。今回は
下ろす仕事だったけれど、あの大きく重い地蔵をあの高さまで運び上げた昔の人は
本当に凄いなァ。宗教心と、知恵と和の力だろうと、痛む足腰をさすりながら思う。

 

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