子どもたちの、太鼓踊り。(篆刻:鼓)

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奈良市立興東中学の校区は、この狭川と東里、大柳生の3地区。大柳生の夜支布
(やしふ)山口神社には1年毎に神の分霊を当家(とうや)が祀る廻り明神という
宮座制度があり、夏祭りは当家の植栽を取り払った庭で太鼓踊りと相撲が奉納された。
30年前、私も相撲に飛び入りで出て、小結になり立派な御幣をいただいたことがある。

奈良県で唯一の太鼓踊りは室町幕府三代将軍・足利義満が武門の門出を祈ったと
いう伝承で700年続く県指定無形文化財だが、少子高齢化、踊り手の青年の減少で
2012年を最後に休止されてしまった。ところが、この太鼓踊りが意外な形で復活した。

11月1日、校区地域教育協議会主催の「興東里山まつり」で、幼稚園児3人を含む
小・中学生たち全員が、会場の野外活動センターのホールで見事に演じきったのだ。
2週間毎日練習を重ねたという。太鼓を叩きながらひた向きに踊る姿に、皆が心から
感動した。踊り終えた中学の生徒会長は女の子だが、皆の前で「私たちが引き継いで
いきたい」ときっぱりと宣言した。私たちもそうしてくれることを願う。その心意気や
あっ晴れだが、本当にできるのだろうか。青年男子に限るという垣根は無くなったし、
大柳生在住にこだわらず、他の東里、狭川の子どもも参加した。それでも太鼓踊りを
受け継ぐということは、この地区に住み続けるということ。彼らに、できるのだろうか。

 

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