半世紀前の、「若者たち」。(篆刻:若)

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森山直太朗がフジテレビ開局55周年記念ドラマ「若者たち2014」の主題歌として
「若者たち」をカバーしている。ドラマは見る気がしなかったが、本家のザ・ブロード・
フォーとまた違ういい味だ。50年前、まだ若かった自分を思い出してキュンとする。

大学に入ってすぐ、近所の日大芸術学部のお兄さんが自分の後がまにバイトを
紹介してくれた。フジテレビの視覚効果は、雨、風、雪、炭火、蛇口の水や街の背景
を豆球で灯す電飾などが守備範囲で、もちろんその手伝い。「三匹の侍」の滝の
セットでスタジオの消火栓を開閉した話は以前書いたが、「若者たち」の千葉ロケは
消防車で雨を降らせる大がかりなものだったので助っ人に呼ばれた。結局何をする
でもなく、銚子港で船が埋まるほどのイワシに目を丸くしたりと物見遊山のようだった。
メインの夜の雨のシーンは大原。雨に濡れながら演じたのは加藤剛と佐藤オリエ。
ホースで雨を降らせるのは地元の消防団で、ここでもすることがないが、終われば
大きな旅館に俳優もスタッフも一緒に泊まる。“あァ、あの佐藤オリエと同じ屋根の
下で眠るのだ”と若者の胸がときめく。知的なのに冷たくない。美人なのに庶民的。
若者である私にとって、佐藤オリエは3歳上の憧れのお姉さんだったのだから。

あれからざっと50年。何と半世紀。私の行く道は果てしなく遠い。だのに、なぜ・・・

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