「仕事。」と幼児性。(篆刻:幼)

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仕事ではなく『仕事。』。川村元気という『電車男』を映画化したプロデューサーの
対談集(集英社)のタイトルで、人生を楽しくするために働くことを「仕事。」と呼ぶ。
まだ30代半ばの彼が、世界を面白くしてきた巨匠12人に聞く。自分と同じ歳の頃、
何を想い考え、どう働いたか。何に苦しみ、何を楽しんでここまでやってきたのか。

山田洋次は「批判する頭のよさより惚れ込む感性」、沢木耕太郎は「素人であり続け
ソロで生きられる力を」、杉本博司は「やるべきことは自分の原体験の中にあるから
自分に飽きないこと」、倉本聰は「世間から抜きん出るにはどこかで無理をしないと
いけない」、秋元康は「人間は間違うものだから、戻る力を磨く」、宮崎駿は「何でも
自分の肉眼で見る」、糸井重里は「仕事は人間の一部分だから、どう生きるかを
面白く」、篠山紀信は「世間をどうにかしようなんて、おこがましい。受容の精神が
大事」、谷川俊太郎は「人類全体の無意識にアクセスできる仕事がいい」、鈴木敏夫
は「当事者でありながら最高の野次馬に身を置く」、横尾忠則は「自分が見えている
道なんて不確かなもの。崩壊の先に新しい道を見つけることが多い」、坂本龍一は
「勉強は過去の真似をしないためにやる」と各人各様のしたたかさを披露している。

この12人に共通する何かがあるのに言葉に出来なかったが、昨夜のNHKの「プロ
フェッショナル」でエボラウィルス研究者の高田礼人を見て「幼児性」だと分かった。
人がいい意味での子どもっぽさを失うと、「仕事。」はただの仕事になってしまうのだ。

 

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