日展を見てきた。(篆刻:続歩不倒)

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奈良の陶芸家・喜多浩介さんが、改組新第1回日展の工芸美術で特選を受賞
された。券を送っていただいたが三游会の準備もあって最終日にやっと見せて
いただくことができた。《渇きの惑星》という作品は会場入り口にあって、すぐに
分かった。陶芸については無知な私でも、並々ならぬ技術を駆使しての大作と
感じ入った。いままで挑戦を続けてきた手法をさらに突き詰めたと思える集大成。
陶芸の地平をなおもその手で押し広げようという熱と意を感じて、心地よかった。

さて、篆刻は。以前からあった問題が明るみに出て改組のきっかけにもなった
のだが。せっかく来たからと見てみたけれど。林のように並ぶ書の大きな額に
押しつぶされるのを避けるようにガラスケースの中にある。審査員や審査方法を
変えたのだろうが、作品そのものは何がどう変わったか皆目分からない旧態
依然のものばかり。中には、ほとんどの人が一生見ることもないような漢字を
どこかから引っぱり出してきたものだから、PCで打ったらしい題名も書体が揃わ
ない。この作者はミイラ化した文字のゾンビをつくって、何をどうしたいのだろう。

篆刻「続歩不倒」は今回の三游会の作品のひとつで、アイリスオーヤマの社長の
言葉を借りた。私は篆刻の新しい何かを探しながら独行独歩を続けていきたい。

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