極楽は、あなたの足の下にある。(篆刻:足下楽土)

足下楽土
物事が動くときは、一度に動く。だから、私は運とか運気というものを否定できない。 4ヵ月以上動きのなかった懸案、連帯保証がまず解決し、その2日後には逗子Mが 処分できた。会社に引っかかっていた小骨のようなものを全部片付けて、公私ともに 軽快になった。留守宅に住んでくれたK夫妻にお礼と慰労をかねて、カミサンと4人で 志摩に一泊旅行。その頃、大阪梅田の阪急デパートから、篆刻展のお誘いがあった。 大阪と東京からの荷物の置き場になっていた2階を整理して、半広告・半篆刻の 態勢を整えた。仕事場がなんとか様になると、20年以上も放っておいた家の傷みが、 気になってくる。12月、阪急での2週間の篆刻展と並行して、軒の瓦を葺き替えた。 家がさっぱりしたところで、暮れの29(福)日は、恒例の餅つき。土間のかまどで 米を蒸し、木の臼でつく。米も小豆も、ご近所のもの。草餅のヨモギは、我が庭のもの。 年が明けて、阪急でのかなりの数の注文印を彫りながら、庭づくりに取りかかった。 といっても、そこいらにある石や枕木で囲みと通路をつくる。年季の入った雑草たちを 根こそぎ抜く。そこに園芸用の土を入れる、といった雑なものだが、いまでは6ヵ所。 9割以上が山野草の地植えだ。篆刻は「足下楽土」。自分の立つ、この足の下、ここが 安楽に暮らす場所。青い鳥は目の前にいる、などというまでもなく、住めば極楽。
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