知能は、まだまだ結晶する。(篆刻:結)

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吉田脩二先生は『ヒトとサルのあいだ 精神(こころ)はいつ生まれたのか』(文芸
春秋)で人の未来へ大きな希望を与えてくれた。私の病気にも最適な薬を処方
してくださり治ることができた大恩人だが、現在は著作と絵画(とゴルフ)で充実の
日々を送られている。毎秋、大阪で絵の個展をされるので先日もお会いできた。

今年は桜島、八ヶ岳、御嶽山など山の絵の集大成で、おおらかな姿と自由闊達な
色でまた元気をいただいたのだが。絵は歳をとっても上手くなれる、という話から
「流動性知能と結晶性知能」に話が及んだ。流動(性)知(能)は計算力、暗記力、
集中力など受験に反映されるような知能で18~25歳くらいがピーク。結晶知は知識、
知恵、判断力など経験で蓄積し磨かれるので、年齢とともに伸びて60代頃がピーク
だが下降は流動知よりずっと緩やか。脳細胞の数は加齢によって減るが結晶知が
伸びるほど細胞の分枝が増え、連動して動き出す。しかもこのネットワークはやる気、
面白さを感じてドーパミンが増えるほどつながりやすく、脳のどこかが阻害されても
バイパスルートができやすい認知的予備能になるという。もちろん結晶知はただ漫然
と歳を重ねるだけでは伸びない。仕事でも遊びでも構わない、やる気や快感をもって
取り組めるものがいい。吉田先生には絵が、私には篆刻がある。あなたは何だろう。

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