日本が、ガタピシしてる。(篆刻:我他彼此)

我他彼此
日本のあっちこっちが、ガタピシしている。・・・と書き始めて、その後が続かない。 ただ考え込んでいてもラチがあかないから、とりあえず、篆刻の「我他彼此」。 自分と他人、彼岸の彼である向こうとこちら。自他の差別や対立をいう仏教用語だが、 騒がしいこと、戸の建てつけが悪いことをいう「ガタピシ」の語源でもあるらしい。 我が古農家の建てつけが悪く、隙間風が寒いなど、取るに足らないことであって・・・。 以前話した「両忘」は、この我他彼此を忘れようという言葉だったのだけれど。 我と他はある。彼と此もある。しかし、その立ち位置、間合いが乱れてはいないか。 また昔の話で恐縮だが、私が小学生の頃。向かいのKさんの家には電話があって、 我が家にはない。で、電線を渡して、うちに電話がかかったら、ブザーで教えてくれた。 呼び出し電話というもの。名刺の電話番号の前に(呼)と書くのは珍しくなかった。 そのうち、Kさんにはテレビが来た。こっちは、まだ。で、Kさんの夕食が済んだ頃、 ブザーが鳴る。「テレビを見においで」という合図。これが、実に待ち遠しかった。 Kさんは公設市場で繁盛する乾物屋さん。こちらは、しがない家具職人。 でもKさんは恩を着せることなど一切なく、こちらも卑屈になったことはない。 電線は、近所の誰がみても上から下に流れていたが、ガタピシなどしたことはない。
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