ゆえに、我あり。(篆刻:我)

我
先週の土曜日で、あのNHKの「チャングム」が終わってしまった。 もう3回目だかの再放送らしいが、途中から見て、夫婦ともども、すっかりはまった。 日本人が忘れている何かを良きものとして思い出させる「韓流」に、はまった。 最終回でチャングムが、娘を叱って、その足をムチで打つシーンがあった。 そういえば、私も母に、こっぴどく叱られた。小学生の低学年の頃かと思うが。 お年玉かなにかで、財布を買った。うれしくてしかたない。駄目だと言われていたが、 ポケットに入れたまま外で遊んだ。帰ると、財布が無い。役目の風呂焚きをしながら、 頭をかかえていたら、母が来て、財布を目の前に出した。友だちが拾ってくれたらしい。 外に持って出ないという約束を破った。さらに、落としたことも隠した。ふたつの罪で、 さんざん絞られた。仕上げに、手の親指と人指し指の間にお灸をすえられた。 まだ食料の乏しい時代だった。白菜の漬物を白いご飯に巻くだけでも、ご馳走だった。 初夏の朝、その年初めてのキュウリの漬物。他の兄弟が来る前に、ぜーんぶ食べた。 皿に出した、それしかないキュウリだった。1時間ほど叱られて、学校に遅刻した。 篆刻は「我」。ノコギリ状の戈(ほこ)の形。家具職人の親父の商売道具のノコギリで、 指を落とされんばかりに叱られて、ゆえに「我」がある。我の良し悪しは別として。
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