虹は、五色か、七色か。(篆刻:虹)

虹
北海道のMさんのブログで、山本 涼さんという方の句集『虹の紅』を知った。   まず影の歩み入りける月の庭 という句に惹かれた。日経新聞で坪内捻典さんが、「俳句は大衆の文学といわれるが、 実際は結社的隠語の世界」と書いていたのに大きくうなずいたところだったので、 即座にアマゾンで注文した。俳句詠みにしか分からない「隠語」は、少なかった。 山本さんは、長谷川総子さんというコピーライターの大先達だった。きっと才気あふれる 名コピーを書かれただろうと思わせる句が多い。いいな、好きだな、分かるなと感じる 句を書き出したら、35点になった。さて私がいちばん好きな句は、と読み返して、困った。 迷ったあげく、俳句の門外漢、単なる不特定多数の私が本当に好きだと言える俳句は、 私が好きなキャッチフレーズのタイプと同じだ、ということに気づかされた。   乳母車夏野率ゐてをりにけり という、アサヒカメラの月例特選のような句はすごいと思うけれど、私のいちばんは、   半分は空気でありぬ春キャベツ 篆刻は「虹」で、「工」は左右に反りのあるもの。オランダでは虹は五色らしいけれども、 虹は七色、俳句もある、そんな日本に生まれてよかった、と心から思ったのでした。
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