「ハスが咲いてる!」というカミサンの声で、はね起きた。群青の空の下、 逆光の中で、ハスは咲いていた。いま、いとけない小魚を掌ですくい上げたような、 やさしい開き加減。花びらの縁は、淡い桃色で、花芯にむかって白く消えていく…
宗教
その水は天国か、地獄か。(篆刻:一水四見)
篆刻は「一水四見(いっすいしけん)」。仏教の言葉らしいけれど、 同じ水を見ても、天人は宝石を散りばめた池と見る、人間は水、餓鬼は膿んだ血、 そして魚は自分の住む家と見る。「一処四見」とも言うし、岩國哲人さんの ブログ《一…
謙虚に、受けていただいた。(篆刻:虚受)
車の事故というのは、大きくても小さくても、当てても当てられても、実に後味が悪い。 が、きのうは、そう言い方は不謹慎に決まっているけれど、むしろ爽やかだった。 11月にカミサンも還暦を迎えたので、母の見舞いを兼ねて1泊旅行…
道は、どこにありますか。(篆刻:道在糞尿)
誰かに、「道はどこにあるのでしょう」と聞かれたら、なんと答えますか。 まあ、聞かれた場所にもよる訳で、道に立っていたなら、足もとを指差して、 「ここ」と答えますね。(そんなヤツは、おらんか) それじゃあ、どこかのお寺で、…
まさにこだわることも、無く。(篆刻:応無所住而生其心)
言葉の意味も知らず、むろん体得した訳もなく、ただ彫っただけを、もうひとつ。 「応無所住而生其心」は、「まさに住する所無くして、しかもその心を生ずべし」。 住むところが無く、実に困った、ではない。すべては空・無我であると説…
どこでも主となる、ならば。(篆刻:随所作主立処皆真)
奈良の山彦が、本来自分は海彦なのだと思って海のそばに住んだのだが、 これが何とも落着かない。管理組合とのゴタゴタ以前の問題。心も体も、ふわふわする。 物事に集中できないから、とてもコピーなんか書けない。実は、その逗子Mの…
完全な悟り。(篆刻:得阿耨多羅三藐三菩提)
これが、「得阿耨多羅三藐三菩提」。原語を音写して、意味は「完全な悟り」。 パソコンの外字で探すのも手間だから、徐先生が親切にお手本を用意して くれているはずもない。先生がこの印を見たら、「これのどこが徐三庚なんだ」と 怒…
生ぜず、滅せず。(篆刻:不生不滅)
「不生不滅」は、ご存知の方も多いだろう。般若心経の一節。 「是諸法空相」 真理は空である、に続く、生ずることも、無くなることもない。 ところが、ちょうどこれを彫っている頃、私の父が滅した。 そのことによって、私のなかに、…